原発「三つの検証」 県が長岡市で報告会

避難・生活・原因に不安が続出

 新潟県が独自に原発の安全性を検証している「三つの検証」について、5日に長岡市で住民説明会を開きました。約100人の参加者から、「大雪や道路寸断の際に避難できるのか」「検証を反映した避難計画をいつまでに作るのか」などの不安や疑問が相次ぎました。

 三つの検証は、東京電力福島第1原発事故に関する、事故原因(技術委員会)、健康被害と避難生活への影響(健康・生活委員会)、避難方法(避難委員会)の検証。これまでに健康・生活委員会の健康分科会以外の報告書が花角英世知事に提出されています。

 5日の説明会には検証を担った当時の委員長や座長が出席し、県の担当者の説明の後、質疑に応じました。

 生活分科会座長の松井克浩・新潟大学教授は、どの切り口の検証でも、事故による生活への影響は取り返しのつかない過酷なものという事実を繰り返し突きつけられたと強調し、県民には「自分ごと」として考えてほしいと話しました。

 「中越地震で自分も経験した道路寸断や豪雪時にはどうやって避難するのか」の質問に、担当者は「複合災害ではリスクの高い行動をとらないことを優先し、UPZ(原発から5~30㎞圏)はまず屋内退避してもらう」と答えました。しかし、別の参加者から「地震で家が壊れ屋内退避できないことがありうる」「大雪時は屋根の雪下ろしなど外に出る必要も出てくる」などの疑問も出されました。

 「原発から5㎞(PAZ)、5~30㎞(UPZ)という同心円の区割りは風向きなどが考慮されず現実にそぐわない」「子どもの安定ヨウ素剤の服用、避難、家族への受け渡しなど学校現場との連携が不可欠。その十分な解決がされるまでは検証を続けてほしい」「今までは福島原発事故の検証で、柏崎刈羽原発の検証につなげるこれからが大事だ」などの意見も出されました。

 説明会に参加した日本共産党の、えんどう玲子県議は「専門家がいくら時間をかけ丁寧に検討しても、事故原因や安全な避難方法などの不明確な部分、課題がたくさん残っている。明らかなのは、いったん事故が起きたら生活への影響は過酷なものになることです。検証総括委員会の開催とあわせ、検証結果を県民にわかりやすい言葉で伝え、不安や疑問に丁寧に答えていくことが求められます」と話しました。

 県民説明会は昨年11月に柏崎市と刈羽村でおこなわれましたが、新たに「安全な避難方法」の検証報告があったことを受けて、県内4カ所で開催されます。今後、柏崎市(11日)、上越市(12日)、新潟市(23日)で開催予定です。(2022年11月8日『しんぶん赤旗』)