吉田先生を教壇に戻せ 不当処分・解雇やめよ

帝京長岡高校争議 報告集会
決意表明する吉田氏(右)と(左から)渡辺、土屋の各氏=16日、長岡市

 帝京長岡高校(新潟県長岡市)が不当解雇した吉田大教諭を教壇に戻す争議が山場を迎えています。長岡市で16日に争議報告集会が開かれ、支援する市民ら80人以上が参加しました。

 吉田教諭は2015年、労働組合員であることを理由に懲戒処分と部活監督外しの不当処分を受けました。新潟県労働委員会は処分撤回を命令し、中央労働委員会も和解勧告しましたが、学園は20年3月末に吉田氏を不当解雇しました。

 吉田教諭は解雇無効と賃金仮払いを求めて申し立て、22年6月には東京高裁で勝利決定が確定しています。

 現在は三つが並行してたたかわれています。①「解雇前の懲戒処分撤回の中労委命令」の取り消しを学園が求めた訴訟。東京高裁で今年11月に結審し、来年2月15日に判決の予定、②解雇無効と職場復帰を求めて県労委と新潟地裁で係争中。今年7月に結審し命令待ち、③解雇撤回と職場復帰を求める新潟地裁の本訴。現在審議が進行中。

 報告集会で、新潟県私立学校教職員組合連合の渡辺利宏書記長は、帝京グループには幼稚園から大学まで全国に32校あるが、組合があるのは3校のみで、組合排除の体質があり、帝京長岡高校では一時金査定の差別や会議室使用妨害などがおこなわれてきたと指摘。その中で強化指定の部活の監督だった吉田教諭が標的にされ、校長らが組合脱退を強要し、授業や部活中の生徒への言動を歪曲して懲戒処分の理由を作出した不当処分だと述べました。吉田教諭の争議は「一人ひとりの生徒を大切にする教育と教職員が安心して働ける職場の実現を求めていくたたかいだ」と強調しました。

 土屋俊幸弁護士は、就業規則全面改定をめぐる労働者代表選出選挙で、対抗馬との激戦を制して組合委員長が代表に選出されるなど、教職員の信頼を築いてきた組合運動が、巨大な帝京グループを追い詰めてきたと強調。学園が主張する処分・解雇理由は、生徒とのコミュニケーションや指導の中での言動をパワハラ・セクハラなどと歪曲し常識的な教育指導を無視したものだと指摘し、「裁判所への要請署名をさらに多く集め、公正な判決を求めよう」と呼びかけました。

 吉田教諭は、教員のスキルを上げて生徒のために使いたいと組合に入った初心を話し、罪のない生徒を利用し、転校を強いられた生徒も生んだ学園のやり方を批判。「解雇から3年9カ月のたたかいの中で経済的にも精神的にも不安があったが、組合員や支援者に支えられて頑張ってこられた」と感謝を述べ、勝利の判決と命令を報告できるように頑張りたいと表明しました。

 帝京長岡高等学校職員労働組合から「組合として教育研究集会を開き研さんしているが、学年主任や進学指導部長などの主要な仕事から排除され、実践に生かせない悔しさもある。教職員が生徒ではなく校長の顔色をうかがう環境を変え、生徒と教職員が安心して学び、働ける学校にしていきたい」という発言がありました。

 参加者から「こんな理不尽が教育現場でおこなわれていることに強い怒りを感じる。当たり前の教育ができる世の中に変えよう」など激励がありました。(2023年12月23日『しんぶん赤旗』)