地震・大雪 避難不可能

原発市民検証委員会がシンポジウム
(壇上右から)立石、上岡の両氏のの報告を聞く参加者=21日、新潟市

 新潟県の原発市民検証委員会は21日、県「三つの検証」委員を務めた専門家を迎えた第2弾シンポジウムを新潟市で開き、約230人が参加。能登半島地震を踏まえて本当に避難できるのか、大地震の危険性などを議論しました。

 元避難委員の上岡直見・環境経済研究所代表は、原発事故の被ばくから住民を守ることが原子力防災(避難)の目的だが、能登半島地震で避難も屋内退避もできないことが明らかとなった一方で、国と原子力規制委員会は避難計画をつくる責任を県や市町村に転嫁し放棄していると批判。柏崎刈羽原発周辺では中越地震、中越沖地震で道路寸断が多数発生し、気象状況によっては半日で風向きが変わり避難の判断も困難、福祉施設の避難も新型コロナ発生時に50人の搬送に4日間必要だった例もあるなど避難の課題を指摘しました。

 上岡氏は原発から30㌔圏内の長岡市を例に安全な避難が可能かシミュレーションを紹介し、各地域版を作成し住民と検証していきたいと話しました。

 元技術委員の立石雅昭・新潟大学名誉教授は、能登半島地震が大地震になった「震源断層の連動」が柏崎沖の断層でも起きる危険性などを指摘し、県技術委員会で集中的に議論すべきと話しました。

 意見交換では「長岡市は中越地震で山古志は孤立、大雪では車の立ち往生が何度も発生し、避難などできない」、「新潟市が11万人の避難者を受け入れる計画は、市民が被災・避難していないことが前提の机上の空論だ」などの意見がありました。(2024年4月23日『しんぶん赤旗』)