全被害者救済の力に

新潟水俣病報告集会 切り捨て政策断罪
報告集会で思いを語る皆川原告団長(前列左から2人目)、味岡氏(前列右端)ら=18日、新潟市

 新潟水俣病をめぐり、水俣病の症状があっても、いまだに救済されない人たちがいると司法の判断が下りました。18日、新潟地裁であったノーモア・ミナマタ新潟第2次訴訟の判決言い渡しを受け、原告団と弁護団は新潟市内で報告集会を開きました。

 集会で、弁護団の味岡申宰(あじおか・しんさい)事務局長は、第二の水俣病を発生・拡大させた国の責任は認められなかったが、26人の原告を水俣病だと認めて、加害企業の旧昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)に賠償を命じたと指摘。現行の公健法の認定制度では救済されない水俣病被害者がいまだに多数存在していることを同種訴訟である大阪地裁・熊本地裁に続いて明らかにしたものだと指摘しました。

 3月の熊本地裁判決では、水俣病と認定した原告が除斥期間(民法の時効20年)の適用により請求が棄却されました。

 味岡弁護士は、新潟地裁の除斥期間の判断について、▽自分が水俣病と認識できず差別や偏見から請求が困難だった事情があったと認めた▽正義に反するとして除斥の適用を退けた‐と指摘し、「国の水俣病被害者切り捨て政策を断罪した重要な判決だ」と強調。この判決を「全被害者を救済する新たな制度をつくる力にしていきたい」と話しました。

 皆川榮一原告団長(80)は、「全員救済を求めて(提訴から)10年。長いたたかいをしてきただけに、19人が水俣病と認められず残念だ。国の責任も認められず悔しい」と話しました。原告の加藤シズ子さん(83)は、20代から症状で仕事も満足にできず、差別・偏見に苦しめられてきた思いを語りました。(2024年4月19日『しんぶん赤旗』)