未払い年金賠償へ上告
原告が高裁判決に抗議
国が年金を引き下げたのは生存権・財産権などを侵害するとして、新潟県内の497人が国に年金未払い分の賠償を求めた「未支給年金損害賠償訴訟」の控訴審判決が6日、東京高裁(中村也寸志裁判長)であり、原告の請求は棄却されました。
原告・弁護団と全日本年金者組合新潟県本部は7日、新潟県庁で記者会見し、不当判決だと抗議し、最高裁へ上告する意向を表明しました。
判決は、憲法29条の財産権侵害の事実を否定し、「特例水準」解消を名目にした年金引き下げは年金受給権の侵害と訴えた原告の主張を認めませんでした。社会保障立法は、「立法府の広い裁量」に委ねられ、裁判所が審査・判断するものではないとしました。
弁護団の土屋俊幸弁護士は、判決は2014年の年金額改定で、受給権者の老齢厚生年金(報酬比例部分)を0・2%過剰減額した事実は認めたが、本来水準が特例水準を上回った結果、マクロ経済スライドが適用され、0・2%分を調整率とみなして減額されたことを理由に棄却した不当判決だと話しました。
原告団長の稲葉正美さん(85)は、年金受給者の生活実態を見ない不当判決であり、若者も高齢者も安心して老後を暮らせる年金制度確立のため、最高裁へ上告してたたかうと決意を述べました。(2023年12月9日『しんぶん赤旗』)