農協広域合併を考える
十日町・津南地域自治研究所がシンポジウムを開催
新潟県十日町市で8月27日、十日町・津南地域自治研究所が農協の広域合併を考えるシンポジウムを開き、60人が参加しました。魚沼産コシヒカリのブランドを持つ越後おぢや、北魚沼、十日町、津南町の4農協が来年2月の合併に伴い、支店の金融窓口や職員体制が縮小される予定で、農家や住民から不安の声が上がっています。
発言した伊藤亮司新潟大学農学部助教は、1960年に全国に1万2050あった農協が2023年には555まで激減したが、広域合併で経営を強化するどころか、地域に寄り添う組合の基盤となる職員のリストラやサービス削減で組合員減少が続く悪循環が起きていると指摘しました。
新潟県農協労連の大谷芳則書記長は、ノルマが強まる一方で、合併や支店統廃合で規模が拡大することで人との接点が少なくなり「組合員に喜んでもらう」働きがいが失われ、中堅層の退職者も出ていると話しました。
魚沼市の大規模農家の関隆さんは、農協の合併・大規模化は農家との距離を遠くすると指摘。農協は農家にお金を貸さなくなったが、農業の担い手にもっと融資すべきと訴えました。小千谷市の専業農家の秋山和雄さんは、700戸ある地元地域の農協支店は2人体制に縮小され利用者減少になるなど、支店再編で良いことはないと実態を訴えました。
会場からも「今の農協問題は、農協経営者の責任というより農政の問題だ」という発言があり共感が広がりました。
農協の広域合併が急速に進められる中で、今回のシンポジウムは、農村地域での農協の役割、協同組合である農協の原点を見つめ直す第一歩となりました。(『しんぶん赤旗』2023年9月2日)