柏崎刈羽原発 運転禁止解除は疑問

規制庁に県技術委員が質問
原子力規制庁職員(正面)から説明を受ける県技術委員

 東京電力柏崎刈羽原発の安全管理に関する新潟県技術委員会は1月29日、原子力規制委員会が同原発の運転禁止命令を解除してから初めての会合を新潟市で開き、原子力規制庁から説明を受けました。

 命令解除で再稼働に向けた議論が始まる局面を迎えており、花角英世知事は、規制委の追加検査や県技術委の安全対策の確認などが判断材料になると考えを示しています。

 規制庁職員は、追加検査では、改善措置を一過性のものにしない仕組みが東電で構築できているかの行動観察に時間をかけ、是正が確認できたと判断して命令を解除したと説明。委員からは、適格性の判断や核物質防護設備の監視のあり方などへ疑問が出されました。

 中島健委員は、侵入検知設備が機能していなかった問題は、追加検査で東電のコストカットが影響したと報告されているが、保安規定の「七つの約束」の安全最優先の事業運営が順守されていないことにならないかと述べ、なぜ適格性があると判断したのかと質問。規制庁は、保安規定はセーフティー(安全性)の観点で確認し、守られていると判断したと答えました。

 岩井孝委員は、原発の安全性を守るには、セーフティーとセキュリティー(核物質防護)の両方の適格性が必要なのに、セーフティーだけで適格性があると判断していいのかと質問。規制庁は、セキュリティーの認識が甘かったと述べ、追加検査で核物質防護規定にも基本姿勢を追加し、順守されているか確認していくと答えました。

 奥村晃史委員は、核物質防護設備が損失していた11カ月間に基本検査はあったはずなのになぜ見落としたのかと質問。規制庁は検査対象でなかったため見落としたと不備を認めました。

 一方、規制委は能登半島地震をふまえ「原子力災害対策指針」の見直しを言及しており、それにともなう周辺自治体の避難計画見直しが求められるもとで、再稼働議論の行方は不透明となっています。

 次回は、2月15日に開催される予定です。(2024年2月3日『しんぶん赤旗』)