市民映画館「シネ・ウインド」40周年
会員の年会費・入場料で運営 人権・LGBTなど上映多彩に

新潟市にある常設の市民映画館「シネ・ウインド」が、2025年12月7日で40周年を迎えました。創立以来、新潟・市民映画館鑑賞会の約2000人の会員の年会費や入場料で運営し、特色ある企画と上映を続けています。(伊藤誠)
代表の齋藤正行さん(76)は、1985年に新潟市内の映画館・名画座が閉館したとき、映画評論家・荻昌弘氏の「市民の損失は、はかり知れない」との寄稿に強く共感し、「市民が運営する映画館」建設と「映画館を中心とした新しい街づくり」を提唱しました。市民に出資を呼びかけ、その年に「シネ・ウインド」が開館します。
齋藤さんは、「同じ場所と名前で40年、ここに拠点があり続けたことが、文化の種が生まれ芽吹く土壌を育ててきた」と話します。月刊誌「月刊ウインド」(2月号で通巻485号)も発行し、映画文化を発信してきました。
垣根を越えて
観客と主催者の垣根を越えて、上映の企画、月刊誌の寄稿や編集、会場設営や宣伝まで無償のスタッフで運営し、自殺や人権、マイノリティー、LGBTQなどさまざまなテーマの映画上映やトーク企画があるのも特長です。
スタッフの1人、小野睦子(ちかこ)さん(66)は、「最初は受付の手伝いから参加したのですが、一会員の私が『このテーマをやりたい』と提案しても、ダメと言われず、必ず応援してくれ、企画会議が始まるんです」と話します。
デジタル化が進み、35㍉フィルムの作品を上映する映画館は全国で約40館となりました。デジタルとフィルム両方の映写機を持つ「シネ・ウインド」はデジタル化されていない「ゴジラ」やアニメなど、旧作品を上映する映画館として、新潟国際アニメーション映画祭などの会場にもなっています。
目標を掲げて
2020年、新型コロナ禍で創立以来初めて長期休館を余儀なくされました。その時、「潰されてたまるものか」と、5年先の40周年の目標を掲げて昨年出版したのが『みる かたる つくる にいがた映画130年史』です。すべて手弁当で集った有志が寄稿し、資料を集め、県内の映画館の変遷、ゆかりの映画人や作品を紹介し、一覧資料とともに475㌻にまとめました。B5変型判、税込み4070円。新潟県内の書店、シネ・ウインドの劇場とネットショップなどで購入できます。 齋藤さんは、デジタル化やサブスク(定額配信サービス)が映画鑑賞のスタイルを多様化させた一方で、「営利優先で、人間の孤立が進む恐れも感じています」と語ります。「だから選択肢の一つ、人がつながる拠点として100年後も『新潟にはシネ・ウインドがある』と言われるよう守り続けたい」と話しました。(2026年3月7日『しんぶん赤旗』)

