負担増「予測できた」

新潟地裁 労災巡り当時の社長

 過度な業務と不当な降格人事などで精神疾患を発症し、休業と退職に追い込まれた故小黒勝人さん。遺志を継いだ母親の早川トヨさん(90)が、労災休業補償の不支給処分の撤回を求める裁判の弁論が3日、新潟地方裁判所(鈴木雄輔裁判長)でありました。

 小黒さんは、鈴民精密工業所(新潟県長岡市)の金属部品の熱処理をする熟練工で、処理課長などを担っていました。16年9月に、小黒さんと2人で業務管理や技術指導をしていたS氏の退職で、小黒さんの業務負担が急増。さらに、パワハラを受けたと申告があったとして、社長ら5人の個別面談を受けたことにショックを受けた小黒さんは、その後、自律神経失調症と診断され病休しました。

 3日は、当時の渡辺広之社長と元同僚の星由紀子さんの証人尋問、早川さんの原告尋問が行われました。

 S氏の退職で熟練工がいなくなった当時の人員配置では、小黒さんに過度な負担がかかると予測できたのではと問われた渡辺氏は、「予測できた」と証言。管理職の会議で小黒さんから工程の改善要求があったが、各課で共有・改善されるものと思い、特に対策はしなかったと話しました。

 早川さんは、社長らの面談で「首になるのでは」と心配し、食事も睡眠も十分にとれなくなった小黒さんの様子など証言しました。(2025年3月5日『しんぶん赤旗』)