東電体質に疑問の声
新潟・柏崎 原子力規制庁が市民説明会
原子力規制委員会が東京電力柏崎刈羽原発の運転禁止命令を解除したことを受け、同原発が立地する新潟県柏崎市は22日、原子力規制庁による市民説明会を開き、約110人が参加しました。東電のテロ対策の改善が確認できたとの報告に対し、住民から、東電の体質が変わったとは思えないとの不信感や能登半島地震を受けた原発事故の不安などを訴える声が相次ぎました。
柏崎刈羽原発では、他人のIDカードを不正使用し中央制御室まで入域した事案と、核物質防護設備の一部が約11カ月以上故障し監視が十分でなかった事案が相次ぎ発覚。規制委が2021年4月に改善されたと判断できるまで核燃料物質の移動を禁止する命令を出していました。
規制庁の職員は、追加検査と東電の適格性の再確認の経過を報告しました。特に改善措置を一過性のものにしない仕組みが東電で構築できているか行動観察に時間をかけ、是正が確認できたと判断して命令を解除したと説明しました。
複数の住民から「時間の経過で人事も交代する中で安全文化は継続できるのか。東電は慣れが進むと悪い状態におちいることを繰り返してきた」「定着しつつあるなど改善の途上と評価しながら、なぜ禁止命令を解除したのか」など、東電の改善が継続できるか疑問が出されました。
能登半島地震についても「避難できない不安を解決できない限り再稼働はあり得ない」「人ごとではない。再稼働ありきでなく市民の命最優先を」などの意見があり、職員は、地震の新たな知見・教訓をもとに指針や避難計画の見直し検討もありうると答えました。
「汚染水の海洋放出は、東電の適格性判断の基本姿勢の『復興の実現』に反する」との意見に、職員は「処理水放出は廃炉を進めるため避けられない」と答えました。
説明会に参加した男性は「運転禁止命令解除は、東電は安全と発信することになり問題だ」と話しました。(2024年1月24日『しんぶん赤旗』)