柏崎刈羽再稼働容認に怒り

知事は「信を問う」公約守れ
花角知事の柏崎刈羽原発再稼働容認に抗議し、県庁を囲む人たち=25日、新潟県庁前
県民調査6割「条件整わず」

 新潟県の東京電力柏崎刈羽原発(柏崎市・刈羽村)の再稼働をめぐり、花角英世知事は11月21日の記者会見で再稼働を容認しました。この判断について知事は「県議会で信任、不信任の判断を仰ぎたい」と議会に一任することを表明。しかし、「県民の信を問う」は知事の公約であり、「県民投票」を望む声が多数のなかで、「公約違反、裏切りだ」「知事や県議会だけで決めるな」と怒りの声が上がっています。

県庁を包囲

 11月25日、県庁と県議会を取り囲む『人間の鎖』行動が行われ、県内外から1200人を超える市民が参加して、「知事は公約を守れ」「県民の信を問え」と抗議の声を上げました。

繰り返された公約

 花角知事は、2018年6月、「脱原発社会をめざす」「新潟県独自の『三つの検証』が終わるまで再稼働議論をしない」「再稼働の是非は県民に信を問う」と公約して初当選。その後も、県議会などで「職をとして信を問う」と繰り返し答弁してきました。

 しかし、「三つの検証」(事故原因、健康と生活への影響、安全な避難)は福島原発事故の検証・論点整理の報告書のみで、専門家を解任して県職員がまとめた総括報告書を23年9月に発表して終了しました。

 直接請求運動で14万3196筆の署名を集めた再稼働の是非を問う県民投票条例案は、「二者択一では多様な意見を把握できない」と知事の否定的意見が付され、今年4月臨時県議会で自公らの反対多数で否決されました。知事は新たに「公聴会」「市町村首長との懇談」「県民意識調査」を判断材料にあげましたが、公聴会は公募で7割あった反対者を少数に抑えて、会場傍聴なしで意見を聞くだけで終了しました。

 県民意識調査は、「再稼働の条件は整っている」とは「思わない」が6割、「東電が運転することは心配」が7割などの結果となりました。

 この調査を受けて、原発から30㌔圏内の長岡市の磯田達伸市長は、11月14日の知事との懇談で「(再稼働を)判断するタイミングはまだ早い。安全対策や情報提供に時間をかけ、民意を見極めるべき」と知事に伝えました。

課題・問題が山積

 柏崎刈羽原発では、今年に入ってからも、6号機の燃料制御棒が抜けない不具合や7号機の緊急時用衛星電話の故障などが相次ぎ、11月にはテロ対策の機密文書を東電社員が無断で持ち出し、コピーしていた不祥事が明らかになっています。

 「柏崎刈羽原発再稼働の是非を考える新潟県民ネットワーク」の大賀あや子世話人は、「県民の信を問う」手法は新潟日報や独自の県民調査で、「県民投票」を望む声が6割と最も高く、「県議会議決」は14%しかないと指摘します。

 同じく片岡豊世話人は、「12月県議会で知事の再稼働容認の判断が信任されたとしても、すぐに再稼働はできない。県民投票の実現を求め、県民の意思を体現する運動を続けていきたい」と話します。

 県は、柏崎刈羽原発の避難道路の整備費22億6000万円などを計上する補正予算案とは別に、再稼働した場合に受けられる国の交付金を財源とした「原発の安全対策や防災対策の広報費」3100万円の補正予算案を分離提案して、知事の再稼働判断を問う方針です。

 12月県議会は、2日~22日の日程で開催されます。(2025年12月1日『しんぶん赤旗』)

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