地域の命綱 病院がもたない
低すぎる診療報酬 財政支援ただちに

病院経営の危機が深刻です。9月28日、関東甲信越医師会連合会(1都9県)は定例会で、国に診療報酬の改定や補助金による緊急支援策を求める決議を採択しました。これに先立つ8月、新潟県の日本共産党の遠藤玲子前県議と長岡市議団は、長岡市の三つの中核病院と懇談し、病院幹部から「現行の診療報酬では経営が成り立たない。大幅な引き上げが必要」「党派にかかわらず、医療現場の実態をわかってほしい」など切実な実態が語られました。
党市議団らは、全国的に急性期病院の経営危機や人手不足、新潟県でも厚生連病院の経営赤字などが報じられる中で、「現場の実情をリアルに把握して、医療行政の改善に向けた取り組みを強めよう」と、長岡地域の医療の中核を担う、長岡赤十字病院、立川綜合病院、厚生連・長岡中央綜合病院に懇談を申し込みました。立川、長岡中央の2病院は初めての懇談でしたが、予定時間を大幅に超えて病院から実態が訴えられました。
3病院から共通して、「物価高や人件費アップの一方で、診療報酬が上がらず、経営を圧迫している」と話があり、「職員のボーナスを削減せざるをえなかった」病院もありました。「急性期病院ではベッド稼働数が85%以上で黒字だったはずが、今はそれ以上でも赤字」「診療報酬を大幅にアップしないと病院が持たない」「建物や医療機器の更新に必要な資金も確保できない」と実態に見合う財政支援が必要と話しました。
長岡地域には一般病床を持つ県立病院がないため、3病院が連携して急性期医療を担ってきました。他の地域からの救急受け入れや受診も多く、「ドクターヘリ医療スタッフの人件費は病院負担」(赤十字)、「大災害時の患者受け入れに備えて透析機能など充実させてきた」(立川)など地域医療を支えるため献身的な努力が行われています。しかし、苦しい経営状況に対して県からの財政支援はなく、県の医療計画でも中越圏域は「現行の体制を中長期的に維持していく」としか書かれていません。「現場任せのままでは長岡地域の医療体制の維持が困難になる危機感が、行政から感じられない」との指摘もありました。
長岡赤十字病院の元副院長・看護部長も務めた遠藤氏は懇談後、「医療現場の実態をわかってほしいという関係者の思いをひしひしと感じました。引き続き医療機関や医師会との懇談や行政への働きかけを進めたい。また、医療機関への財政支援などを国や県に求める署名を通じて医療の現状を市民に知らせ、地域医療を守る市民運動を広げたい」と話しました。(2025年10月4日『しんぶん赤旗』)