県の試算の問題点を指摘

柏崎・刈羽原発 市民検証委員会
再エネの経済効果試算などを示して会見する(画面左から)藤堂、明日香の両氏ら=7日

 新潟県の原発市民検証委員会は7日、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の経済効果についてオンラインで記者会見し、経済学者の明日香壽川(じゅせん)東北大学教授と藤堂史明(ふみあき)新潟大学教授が、原発による地域経済や雇用の効果は少なく、再生可能エネルギーと省エネの推進のほうが大幅な経済効果と温室効果ガス削減につながると報告しました。

 新潟県は4月、柏崎刈羽原発6・7号機を「再稼働」「廃炉」「停止」した場合の地域経済や雇用への波及効果の試算を発表し、10年間の経済効果は再稼働が4396億円、廃炉が1262億円、稼働停止が2984億円と示しました。この試算に専門家から、県民に誤った判断をもたらす危険があると指摘がされていました。

 明日香氏は、県試算は事故発生リスクを考慮せず、再稼働の経済効果も県内総生産の0・5%にすぎないと指摘。新潟県で2030年に13年比60%のCO2を削減する省エネ・再エネ対策を進めれば、再稼働時に比べ経済波及効果は6・4倍の年2817億円、雇用も5・7倍の年2万2千人になる試算を示しました。  藤堂氏は、原発立地前の1975年から約40年の統計で柏崎市と県内の同規模自治体を比較した検証では、原発の経済効果は見られなかったと指摘。立地自治体に交付金を手厚くしても、原発事故で命や生活、自然が奪われるリスクには見合わず、県試算を再稼働の判断材料にするのは問題だと話しました。(2024年6月11日『しんぶん赤旗』)